Apptioのソリューションにより、大学のITコストの可視化が実現し、IT部門と財務部門でサービスカタログが作成できるようになり、年間予算策定プロセスを67%短縮し、急な問合せにも94%早く回答できるようになりました。
1世紀以上にわたり、テキサス大学アーリントン校(「UTA」)は州の最高位の研究機関としての地位を誇ってきました。1895年に設立されたUTAは、学生に対して常に批判的思考を奨励するとともに、最先端の施設、質の高い学術プログラム、実社会での経験を提供しています。現在、同大学はカーネギー高等教育機関分類のR1研究機関であり、180の学士、修士、博士課程を提供し、バーチャルとテキサス州アーリントンにあるキャンパスの両方で年間平均60,000人の学生にサービスを提供してい
ます。
将来の成功に向けてITを位置づけるためには、戦略の変更が必要でした
UTAは、大規模な学生コミュニティにサービスを提供しており、その中には伝統的な範疇に属さない学生も多数存在するため、質の高い教育を適切な費用で提供することに誇りを持っています。コストの抑制は、大学全体の基本理念であり、IT部門も対象になります。「私はいつもコストを気にかけています」とUTAのCIOであるジェフリー(ジェフ)・ネイランド氏は語ります。「大学、管理者、研究者を、IT部門の顧客だと考えています。ですから、IT部門が提供するサービスを分析して、コストを把握できるようにする必要があります。」
そして、その能力を身につけるには、IT部門内の変革を行う必要がありました。IT部門はこれまで細分化、分散化されてきており、リーダーシップチームは、将来に向けて明確な戦略的ビジョンを定める必要があると認識していました。これには、ビジョンを達成するための新しいテクノロジーソリューションを導入することも含まれていました。「優れたサービスを提供するためには、IT部門用のツールを導入する必要があります」とジェフは言います。「ITファイナスの領域は、まさに優れたツールが必要な分野の1つだと考えます。」
UTAは、IT部門のビジョンを達成するためのツールセットとして、ApptioのCost Transparency、IT Planning、およびBill of IT(現在はすべてApptioOne MX 製品ファミリーの一部)とCloudabilityを導入しました。
コストの可視化により、ITコストデータに構造と文脈を与える
UTAでは、人事管理や財務管理など、大学の事業管理機能にOracle社のPeopleSoft を使用しています。そのため、このアプリケーションが大学全体の財務データの提供源になります。これらには大学、学生、研究者および管理者に、ITサービスを提供するためのさまざまなコストデータが含まれています。
PeopleSoftにはITコストデータが存在していましたが、目的に合わせた形で、自動的にレポートを作成することは簡単ではありませんでした。そのため、ITファイナスチームはMicrosoft Excelのスプレッドシートで、ITコスト、ベンダー契約、経費の分類、予算と予測の管理を行っていました。スプレッドシートでの作業は煩雑で、時間と労力がかかり、チームではこのスプレッドシートを“モンスター”と呼んでいました。
ネイランド氏が指摘するように、ITサービスを改善するには、適切なツールを使用して作業を行う必要があります。大学のITサービスを次のレベルへと引き上げるためには、それまでのスプレッドシートによるものよりも、ITコストの可視化をさらに推し進める必要がありました。
Apptioによる予算策定、予測、および非定型レポート作成プロセスの簡素化
Apptioを導入する前は、UTAでは予算策定と予測に膨大な労力がかかっていました。ITファイナンスチームは、“モンスター”ようなスプレッドシートを使用していましたが、データ入力、不整合の修正、マネージャー向けレポートの作成に多くの時間と労力を要していました。「UTAのITファイナンス・分析担当のアシスタントディレクター、ミッシェル・ベル氏は次のように語りました。「当時、私たちは四半期ごとの予測を手作業で行っていました。私は毎日予算を確認していたので、CIOのジェフとの四半期ごとの会議では、かなりの情報を提供できました。」
Apptioの利用を開始することで、予測プロセスの簡素化が実現できました。これにより、ベル氏と彼女のチームは、作業時間が大幅に短縮され、四半期ごとの予測から月次の予測にシフトすることができるようになりました。「Apptioの導入前は、四半期ごとの予測をまとめるのに8人のチームで毎月1週間を費やしていました。現在は、月次の予測を行っていますが、1人で5時間ほどで完了します。」
ベル氏によると、Apptioを利用することで、予測プロセスの改善に加え、年間予算の策定がかなり容易になりました。「紙に印刷する必要がなくなりました。以前は、大量の10×17インチ(25×43センチメートル)用紙にデータを印刷し、あらゆるマネージャーと会議をし、内容を確認し、余白にメモをとり、予算項目を示し、会議が終わった後にスプレッドシートを更新して、予算を策定していました。今はApptioを使ってすべてを実施しています。開始から完了までの全プロセスで、18週間かかっていたものが6週間で済みます。」
Apptioに全データを保存することで、ベル氏とチームはCIOや他のマネージャーからの急な問合せにも簡単に回答できるようになりました。「以前は、データを追跡して一つの質問に回答するのに平均2日間かかりました。今では、3時間以下で完了します。」
ベル氏は、その良い例として、CIOから予算の予実差異について質問された際のことを挙げます。「ジェフは、実際の支出額と予想される支出額を比較することを望んでいました。以前は、回答するのに1時間半かかりましたが、今では、Apptioを使用することで、10分ほどで完了します。」
レポート機能の強化により、意思決定のスピードが向上
ベル氏は、Apptioを最大限に活用するために必要となる、すべてのデータ項目を設定することに、当初は時間がかかったと認めています。データソースを特定する必要があり、一部のデータ項目では、アクセスする際にセキュリティ認証が必要でした。しかし、一度この初期プロセスが完了すると、Apptioにより、予算項目をドリルダウンして詳細情報を取得できるようになります。「ジェフはある経費の金額をクリックすることで、より詳細な情報を確認できます。予算が変更された場合でも、クリックしてドリルダウンするだけで詳細を確認できます。経費処理に関するすべての情報(メモ、コメントなども含めて)がそこに格納されています。Apptioの導入前は、求められる情報の9割が提供できていませんでした。当時のレポートには情報がなかったからです。情報が提供できた場合も、手作業で探さなければなりませんでした。」
このレポート機能の強化により、ベル氏はリーダー陣に常に情報を提供し、より迅速な意思決定を支えることができるようになりました。ベル氏は言います。「Apptioの導入前は、CFOとの四半期ごとの予算会議のために、大きなバインダーを手作業で作成する必要がありました。打ち合わせ中に尋ねられるかもしれない質問に、ジェフが回答できるようにするためでした。今では、会議にタブレットを持っていくだけです。質問があった場合、ジェフはApptioを起動させて回答すればよいのです。」
ベル氏によると、Apptioのレポート作成機能は、彼女にとって最も有用なものです。「Apptioを使用することで、CIOオフィスに対して行うレポートの98%を自動化することができました。すばらしい成果です。これにより、チームメンバーは自席でレポートを作成し続けるかわりに、他の重要な業務を行うことができます。
Apptioを導入することで、チームはデータの可視化及びデータの可用性向上を実現することができました。私たちのチームは、当校の経営陣に職務遂行に必要な情報を提供すること、そして正確なデータを提供することに力を注いでいます」いでいます。Apptioのおかげで、それが可能となりました。「Apptioのおかげで、それが可能となりました。」
ベル氏によると、Apptioは経営陣にタイムリーに正確で一貫性のあるデータを提供するのに役立ちます。これにより、大学の各部門間の関係が改善されました。CIOは、有益でインパクトのあるデータを大学の経営陣に伝えることができます。そのため、学生の学びをサポートするという大学全体の目的に沿った形で、プロジェクトへの支出や契約の締結についてより的確に判断することが可能になります。
今後の展望:サービスカタログ、Bill of IT(コスト配賦・課金)、クラウドコストの最適化
UTAは同校の戦略的ビジョンに向けて大きく前進しましたが、今後さらに多くのことが期待されます。次は、包括的なサービスカタログの導入です。2年間の取り組みの後、ジェフとチームは顧客に提供するサービスを正式に決定し、Apptioはそれらのサービスの価格を設定するためのコスト基準を提供します。今後は、各カレッジや部門が必要なサービスを選択し、すぐにコストを把握できるようになります。ジェフは言います。「私たちが最善のコストでサービスを提供できない場合は、他のサービスを探してください、とすべての利用部門に伝えました。」
UTAでは、サービスカタログに加えて、ApptioOne Billingを使用して、サービスに関する請求を自動化することを計画しています。これにより、コストの計算、明細書の作成、部門間での経理処理に伴う手作業が不要になります。
ジェフによると、直近のプロジェクトは、UTAのクラウドコストを最適化することです。大学の戦略計画の一環として、ジェフとチームは大学のアプリケーションの90%以上をクラウドに移行しました。今では、Apptio Cloudabilityを活用して、全体的なクラウドコストをよりよく理解し、今後の支出を最適化する方法を明らかにする計画です。
「大学の将来を支えるためには、ITの確かな基盤を構築することが重要です」と、ジェフは語ります。「戦略、人事、財務、運用セキュリティ、インフラストラクチャなどがそれにあたります。これらすべてにおいて、しっかりとした基盤を構築する必要があります。そして、ITファイナスは、それらすべてを統合します。そして、Apptioは私のファイナンスツールであり、ITファイナンスを支えてくれています。」
ApptioOneについて詳しくは、https://www.apptio.com/ja/products/apptioone/ をご覧ください。