先日ナパバレーで行われたTechnology Business Management(TBM)Board of Directors Invitationalで、TBM Council Boardおよびゲスト(CIO、CFO、CTO)たちで10周年を祝いました。講演者は、TBMがいかに進化しているか、テクノロジー投資の価値を管理し、IT投資によってもたらされた事業への価値についての対話を変え、財務および価値の観点から複雑なクラウドトランスフォーメーションを管理し、アジャイルデリバリーの採用によるデジタルイニシアチブの実践についての価値とリソースを管理する新しいポートフォリオの管理手法を明確に受け入れるうえで、欠かせないメソドロジーであることを強調しました。
TBMのメソドロジーにおける進化は、あらゆるビジネスにおいて最も重要な問題点に対処しています。それは、より少ないコストで迅速に実施し、あらゆる段階で継続的に価値を示すことです。 CIOは今や、組織において価値を生み出す役割を担っています。
デジタル化においては、何がデジタルであり、何が違うかを定義し、理解することが必要です。顧客と従業員とのやり取りが異なる各業種には、それぞれ異なるデジタルフットプリントがあります。しかし、共通するのは、単に自動化するのではなく、プロセスを再認識することです。顧客のオンボードプロセスが6ステップあり、デジタル化しても6ステップと変わらないのであれば、デジタル化されているとは言えません。デジタル化とは、手順を排除したり、新しいものを再構築したりすることを意味します。テクノロジー投資からビジネス価値を生み出し、感情ではなくデータ主導型とすることで、デジタル変革のための資金調達、経営幹部や取締役会とのしっかりした連携、デジタルイニシアチブの継続的な成功の追跡などに役立ちます。
テクノロジーおよびビジネスリーダーは、こうした要求に対して同じ方法で対応しています。革新的なリーダーは、プロジェクト主導型からプロダクト主導型への変革を進めており、プロダクト中心の考え方を受け入れています。 最高デジタル責任者(CDO)と最高情報責任者(CIO)を兼任している組織もありますが、多くの組織ではこの2つを別の役割とする体制をとっています。一つだけ共通点があります。テクノロジー、プロダクト管理、UXの各チームがそれぞれ連携し、迅速にイノベーションを実現しています。この新しい働き方によって、イノベーションへの投資や評価方法が変わってきます。プロダクトやバリューストリームにどのように資金を供給するか? アイデア出しをどうするか? リソースをどのように調整するか? どのようにビジネス成果を測定し、資金とリソースに継続的に優先順位を付けるか? 最後にプロダクトとビジネス成果をどのように結び付けるか?
デジタルがビジネスに与える影響
企業は顧客体験と従業員体験を再構築しています。大量退職時代とハイブリッドオフィス文化は、分散された労働力とともに、データ、人、体験のつながりを維持するニーズに光を当てています。パンデミックは、顧客体験においてもその変化の速度を速めました。顧客との取引と顧客サポートをデジタル化させ、「あったらよいもの」から「なければならないもの」へと変化させました。
Apptioのお客様は、このような体験をサポートするうえでテクノロジーを総合的に捉えています。Apptioのお客様は、テクノロジーにかかるランニングコストを常に最適化し、捻出した資金を新しい投資に再投資すること、コストから価値を中心とする対話への変換、競争優位性としてのクラウド活用、プロダクト提供モデルに合わせたリソース調整、継続的な価値の測定を実現しています。全ては、そのために必要なデータが示してくれます。データによってテクノロジー投資のコストと価値についての信頼性を構築し、組織内の他の経営幹部との対話を変化させることができます。
デジタルサクセスを阻止する最大の障壁
CIOは、TBMの変革には3つの主要な推進要因があると語っています。これらの推進要因はうまく活用されないと、デジタルサクセスへの障壁となることがあります。
1つめはお金です。CIOは、テクノロジー投資についてデータ主導型の意思決定を行い、資金がどこへ行くのか、その理由を把握する必要があります。支出をビジネス価値に結び付けることは、普遍的に必要です。 データ主導型アプローチとして、スプレッドシートでの管理は不適切です。
2つめが時間です。IT支出内訳の50%が、リソースと人材である傾向があります。数千人もの開発者、サポートスタッフを抱える大規模組織では、従業員の生産性を測定し、彼らが何の業務に取り組んでいるか、その業務が価値を生み出しているかを把握することは難しくなります。それはリソースとチームの観点からも当てはまります。私が話をするCIOの大半は、チームレベルの業務をポートフォリオやプロダクトビューに集約しています。彼らは、目標と主要な成果(OKR)、ビジネス成果を追跡し、イノベーションの未処理案件を測定し、チームとバリューストリームに資金を供給しています。 提供されるビジネス価値に注目して、コスト指標とエピックとスプリントを結び付けて、適切なタイミングで適切な価値を提供しています。
3つめがクラウドトランスフォーメーションです。Apptioのお客様の多くは、オンプレミスからクラウドに移行するほうが必ずしも安いわけではないが、スケーラビリティやイノベーションへのアクセスなど他の理由も考慮すると、賢明な決断だと話しています。 クラウドトランスフォーメーションのコストと価値を継続的に測定できるためには、あらゆる組織がオンプレミスとクラウドの総所有コスト(TCO)モデルを必要としていることに同意しない人はいません。Apptioのお客様は、パブリッククラウドにいかに多くの非効率性が隠れているかを知っています。例えば、確約利用割引(CUD)を活用していないチームや、開発者チームが業務時間外にリソースを放置しているケースなどです。
TBMはメソドロジーとして、ApptioはTBMを実践して障壁を克服するためのシステムです
TBMメソドロジーの中核と、それを適用して展開を自動化するApptioのようなシステムは、基幹となるテクノロジー財務管理(お金)、デジタル投資(時間)、クラウド特有の財務管理にわたって、障壁に対応して成功に導きます。
TBMは、アナリティクス、知見、プランニング機能の核となるセットを定義しています。Apptioは、こうした機能を現代企業に必要なソリューションとして体系化しています。
Apptioは、ITのビジネス価値を実証する唯一のソリューションとして、エコシステムの中心に位置し、ユニークな立場を確立しています。Apptioは、財務、オペレーション、ベンダー等のデータソースからデータを取り込み、あらゆるテクノロジー投資に100%対応しています。
どこからでもTBMの取り組みを開始できる
TBMの実践者は、どこから始めるかではなく、何を始めるかが重要だと言うでしょう。TBMの実践が成熟するにつれ、価値の会話が他のビジネス領域まで広がっていきます。TBMへの道は一つではなく、Apptioのスタート地点も一つではありません。Apptioは、核であるIT財務管理、クラウド特有の財務管理、およびデジタル投資におけるリーダーであり続けます。 お客様はこのなかで複数の領域から取り組みを始めることができます。(a) IT支出の基本情報をベンダー、ハイブリッドインフラストラクチャー、アプリケーションへ分類。(b) テクノロジー支出の予算策定と予測。(c) AWS、Azure、GCPへのパブリッククラウド支出の管理・最適化。(d) ポートフォリオ周辺の価値とOKRとリソースの管理。
ある株式公開している教育企業のCFOは、人材の次に大きな支出であるテクノロジー支出の管理の難しさについて、こう語っています。「当社はSaaS企業です。そのためホスティングコストは変動します。日々のホスティングコストを確認することで、効率改善すべき領域を特定できます」 「どの四半期も、収益が得られない場合、株価に影響が出ます。Apptio Cloudabilityを使用することで、この多額のコストを可視化でき、引当金の計上方法とクラウドの使用方法を変えることで、効率と運用コストへの影響を評価できます」
基幹となるIT財務管理から始める
お客様の多くは、ITコストについての基本的な質問に答えるために、ApptioOneから取り組みを開始しています:どの分野のIT支出が予算超過しているか? 割り当てられた予算をどのように追跡しているか? このような質問はすべて、使用される資金の最適化余地を明らかにすることを目的としています。基幹となるIT財務管理は、CIOオフィスやIT財務チームから取り組み始めます。基礎的なTBM成熟度においては、コストとリソース管理のための予算編成と予測プロセスから始まります。さらに高度なTBM成熟度に進んでいくと、総所有コスト(TCO)をインフラストラクチャー、ベンダー、アプリケーション、ビジネスユニットの消費に適用し、プロダクトレベルでの損益(P&L)ビューの可視化を進め、ビジネス価値に焦点を置いていきます。
最近、プロフェッショナルサービス企業のCFOと、同社の分散型 IT&セキュリティ支出について話をしました。「Apptioの取り組みを行う前は、データを消化できていませんでした」とCFOは話します。「支出の規模と、どこに使われているのか、正確に把握するために、Apptioを使用しています。サービスマネージャーおよびプロジェクトマネージャーはすべて、Apptioで予算編成を行っています。さらに、年間2億ドルのクラウド支出の管理にもApptioを使用しています。マルチクラウド環境において、グローバル規模での請求をチャージロードレベルに落とし込む必要があります。財務面において、サービスマネージャーが各テリトリーにサービス提供できるように支援しています。Apptio Cloudabilityは、サービスマネージャーがクラウド利用者に対し、クラウド利用がその支出に与える影響を示し、明らかにしてくれます」
デジタル投資から始める
デジタル投資には、バリューストリーム、キャパシティ管理、人的リソースの生産性、リソースギャップの可視化などのための資金が必要となります。デジタル投資管理の取り組みは、デジタルまたはアジャイルトランスフォーメーションオフィスが担うことが多く、基礎的なTBM成熟度ではリソースの予算編成と予測から始めます。高度なTBM成熟度になると、ポートフォリオとバリューストリームに焦点を置き、最終的にデジタルTCOにつなげて管理を強化していきます。
Apptio TargetprocessとApptioOneを統合することで、単にプロジェクトだけでなく、バリューストリームに資金を提供できるようにしています。チームレベルでの人件費はすべて、自動的にApptioOneに還流します。リソースに関する粒度の高いビューによって、バリューストリームの収集体までロールアップできます。多くのCIOは、既存のプロジェクトベースソリューションをデジタル投資に適応させるのに苦労していると話しています。ある金融サービス企業のパフォーマンス管理担当バイスプレジデントは、Apptio Targetprocessをチームで導入しました。「当社は早期にTBMを導入し、具体的なTCOモデルを持っていました。しかし2年前、当社のポートフォリオシステムがウォーターフォール中心であることを認識し、混合モダリティの管理が必要になったのです」
クラウド財務管理から始める
クラウド財務管理(CFM)には、マルチクラウドのダッシュボート、直接・間接クラウド支出のロールアップ、ビジネスマッピング、SaaSコミットメントの契約更新などの可視化が必要となります。
CFMはクラウドセンターオブエクセレンス(CCoE)またはFinOpsの実践を進め、基礎的なTBM成熟度ではIaaSとSaaSのコスト管理から開始します。高度なTBM成熟度になると、総負担クラウドTCOを明らかにします。
Apptioのお客様の大半は、クラウドのユニットエコノミクスビューに移行しています。これには、各クラウドプロバイダーからの請求に含まれるものだけでなく、人件費やサードパーティのセキュリティ支出も含まれます。Apptio Cloudabilityのお客様はMLアルゴリズムを使用して、20%の支出削減につながる最適化の機会を見つけています。
TBMの活用でクラウド導入を加速する
あるTBM Councilボードメンバーが最近、Fortune100企業が、いかにTBMを活用してデータセンターの50%を閉鎖し、その支出をパブリッククラウドにシフトしたかを私に教えてくれました。彼らの行動のきっかけは、オンプレミスハードウェアの利用率が低いこと、テスト環境の移行により削減余地があることを示す詳細な財務分析でした。初期の結果は良好で、さらに重要なことに、継続中のクラウド移行への確信と勢いが生まれました。TBMは、この企業のクラウドイニシアチブの正当性を立証し、加速させました。25万台のサーバーを削減し、AWSのTCOを2億5,000万ドルから1億2,500万ドルに削減しました。
デジタル化は成功と生き残りへの鍵
何がデジタルであるか、何が違うかが曖昧で議論していては、デジタル化の必要性から目を背けることになりかねません。古いシステムをモダナイズし、レガシーソリューションをクラウドに切り替え、プロジェクト財務管理をプロダクトに適用しても、それは単に新しい古いシステムを手に入れたことになるだけです。デジタル化の必要性を満たしていることにはなりません。顧客や従業員とのやり取りは進化しており、TBMのメソドロジーやApptioのソリューションも進化しています。