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Lowe’sは、2022年度 TBM CouncilのAgile Evolution Awardを受賞しました。
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エグゼクティブサマリー
Lowe’s Companies, Inc.は、テクノロジービジネスマネジメント(TBM)を活用してアジャイルトランスフォーメーションを推進し、多くのメリットを享受してきました。Lowe’sは、階層的なオペレーティングモデルから、機動力の高い、開発チームとプロダクトに沿った意思決定を実現する、アジャイルモデルに移行しました。アジャイルオペレーティングモデルに移行しても、プロダクトコストの把握とプロダクトチームの資金調達は依然として困難でした。テクノロジー部門と財務部門間の強力なパートナーシップと、TBMの活用を通じて、Lowe’sは総所有コスト(TCO)レポートを作成し、ビジネス価値の提供、透明性のあるコストの理解、戦略的計画との整合性に重点を置くようになりました。プロダクトTCOレポートにより、Lowe’sは、プロジェクトレベルでの資金調達から、特に集中すべき価値の高いプロダクトチームへの資金調達型に変更し、年間投資計画プロセスをモダナイズできるようになりました。
Lowe’sの会社概要
Lowe’s Companies, Inc.は、FORTUNE®50に名を連ねるホームリフォーム企業であり、米国とカナダで毎週約1,900万件の顧客取引を行っています。2021会計年度の売上は960億ドルを超え、Lowe’sとその関連事業部門は、約2,200軒の住宅の修繕およびハードウェアストアの運営や修理を行っており、30万人以上の従業員を雇用しています。ノースカロライナ州ムーアズビルを拠点とするLowe’sは、安全で手頃な価格の住宅建設や、次世代の熟練した専門家育成に重点を置いたプログラムを通じて、コミュニティを支援しています。
課題
TBMは、2017年以来、Lowe’sのアジャイルオペレーティングモデルへの移行を含む、ビジネス部門支出、ソフトウェア、インフラストラクチャコストに関する様々な洞察を提供してきました。Lowe’sのチームは、TBMの実践を通じて、年次投資計画プロセスで、プロダクト状況におけるコストの理解にギャップがあることに気づきました。チームは、この新しい資金調達方法を確立するために透明性を高める必要があり、その結果、プロダクトTCO管理の重要性が増しました。
ソリューション
Lowe’sは、プロジェクトレベルでの資金調達から、特に集中すべき価値の高いプロダクトチームへの資金調達型に変更し、年間投資計画プロセスをモダナイズできるようになりました。Apptio Targetprocess、ApptioOne Plus、Apptio Cloudabilityの活用とともにTBMのベストプラクティスを実践することで、Lowe’sは、複雑な関係で紐付けられる大量のデータを解釈する持続可能なプロセスを確立し、ステークホルダーがITコストモデルの結果を理解するための共通言語を持つことができるようになりました。
結果
プロダクトTCOレポートの影響
Lowe’sのテクノロジーチームは、エグゼクティブVP、最高デジタル・情報責任者であるSeemantini Godbole氏のリーダーシップの下、アジャイルデリバリーモデルを活用することにおいて大きな進歩を遂げました。プロダクト構造組織とアジャイル開発により、テクノロジーチームは、市場投入まで驚異的なスピードでビジネス要件を実現できるようになりました。テクノロジー部門と財務部門の緊密なパートナーシップと、あらゆるリーダーシップレベルでのプロダクトのコストと得られる価値に関する議論の融合が、成功の鍵となっています。テクノロジー部門と財務部門とのパートナーシップにより、組織はプロダクト中心で活動できるようになりました。
Lowe’sのTBMモデルでは、テクノロジーコストの約80%をプロダクトに配賦しています。Lowe’sがTBMモデルを作成したのは、ITILとサービスがテクノロジーサービスデリバリーの根幹を支配していたときでした。しかし、TBMの原則が機敏であるため、Lowe’sチームがプロダクト組織に移行するのを妨げるものではありませんでした。Apptioで作成されたプロダクトTCOダッシュボードにより、Godboleチームはポートフォリオレベルでの投資と傾向を把握できるようになりました。さらに、VPはプロダクトレベルで投資と傾向を確認できます。最後に、プロダクトマネージャーは、プロダクトコスト毎の投資と内訳を確認できます。ドリルダウン機能により、あらゆる立場の関係者が、統一された1つのダッシュボードを使用できます。テクノロジー部門にとってだけでなく、財務部門は、毎月の財務レビューでプロダクトTCOダッシュボードを使用して、部門別コストではなく、プロダクトに関する様々な財務視点での管理機能を集中させることができました。OKR(目的と主要結果)ダッシュボードにより、Lowe’sのリーダーは、プロダクトがもたらす価値と、その価値を実現するのに必要なコストを同時に議論できます。
2022年、Lowe’sのテクノロジー組織の全メンバーは、プロダクトTCOとOKRダッシュボードの使用について学び、TBMが根本的に組織文化に組み込まれていることを確認しました。プロダクトと関連投資がもたらす価値を、必要なコストとともに提示することで、プロダクトオーナーは優れた財務視点を持つ管理者となり、Lowe’sのリーダーはより多くの根拠に基づいた意思決定を行うことができます。
イノベーションとコスト削減につながる、価値に関する議論
Lowe’sのテクノロジーチームは、プロジェクトではなくプロダクトに対して資金調達することで、新型コロナウイルスの世界的大流行による顧客需要の急激な変化に対応することができました。2020年4月、Lowe’sは、非接触型購入の需要に対応するため、カーブサイドピックアップアプリケーションを導入しました。その結果、2021年にはデジタルソリューションによる売上が25%増加しました。TBMとアジャイルオペレーティングモデルを組み合わせることで、Lowe’sのリーダーシップは、資本を適切なプロダクトチームに迅速に再配置することで、市場の需要に対応することができました。
Lowe’sがテクノロジーに投資し続け、トランスフォーメーションを進めていく中で、TBMはLowe’s Technologyのコストとビジネス価値との結び付け、オペレーショナルエクセレンスの奨励、データから得られる洞察の提示を支援し、コスト最適化のメリットを迅速に享受できるように貢献しました。TBMにより、Lowe’sはレガシーアプリケーションの10%を削減し、利益率の改善に貢献しました。さらに、Lowe’sは、ライトサイジング、柔軟性の向上、予約管理の強化により、クラウドコストの25%を削減しました。
結論
2022年度 TBM CouncilのAgile Evolution Award受賞者である、Lowe’sのTBMチームは、TBM導入チームにこのようにアドバイスしています。まず、いま持っているデータから価値を引き出します。TBMのシニアマネージャーであるKelley Wendelborn氏は、次のように述べています。「今あるデータを使用し、そのデータによってIT投資から得ている価値を捉えます。一部でも価値を捉えると、次に必要なデータが分かり、スノーボールのようにより大きな価値の把握へと広がり、より大きな効果を得られるようになります。」 さらに、Lowe’sのチームは、テクノロジーと財務の関係に優先順位付けするよう新組織を奨励しています。Lowe’sは、TBMの成功には、テクノロジー部門と財務部門の重要なパートナーシップが不可欠だったと語ります。「私たちは団結して、共通の原則を持ち、オーナーを決定しました。これはTBMの採用に不可欠でした。」